目次
Chapter1-1
「犬は男子の教育にとても有用である」
僕の父さんはいつもその話をする。
僕が猫を飼うことにした理由の1つ。
僕の父さんはとにかく喋る。
いっそ弁護士かなんかになったらよいんじゃないかな、と思う。
髪はカールのかかったグレイ。小さな体格を補うためにがおー!なんて吠えるのだと思います。
母さんは細くて物静か。
でも動揺すると喘息の発作を起こします。
僕たちはニューヨークシティの真ん中にあるマンションに住んでいるけれど、部屋におしゃれなカーテンやフカフカのラグマットは置いていません。
お料理するときも揚げものや炒めものは無し。
ホコリやケムリで母さんの喘息がひどくなるってお医者さんに言われたからなんだけど、
でも原因はそうじゃなくって、父さんがガオガオ吠えるからだと思っています。
猫を飼うにあたって、大きな問題がやってきました。
費用を賄うためグラマシーパークのすぐ近くに住む小さな男の子のベビーシッターのアルバイトを始めたときの事です。
僕は家でベラフォンテのレコードを聴いていました。
「父親が息子に鳥と蜂について話をする」件りがとても気に入ってるレコードです。
ところが。
もはや笑い話なのですが、そこで父さんは突然怒りを爆発させたのです。
「家でそんなもん流すんじゃない!」
父さんは怒鳴ります。
「ベビーシッターだって?赤ん坊のおもり?一体全体どうして外に出て働かないんだ?父さんがお前くらいの頃には新聞配達をして小遣いを稼いだもんだ。飼っていた犬のジェフとウサギをハントしりもしたなあそれはもう10マイルもヤツの足跡を追ってな!」
「ねえ父さん、」
たまらず僕は口を開く。
「どこを探したって、この街にもうウサギはいないんだよ」
怒りに任せにプレーヤーのコードを引っこ抜く。レコード針が飛び上がる。
「口答えをするんじゃない!」
きっと、レコードはもうお釈迦様だろう。
僕にだって堪忍袋はある。胸にはクソだってある。胸糞だ。父さんと同様声を荒げる。
僕たちの諍いをキッチンで聞いていた母さんが、ひゅうひゅうと苦しそうな音を立て始めた。
「ほら見ろ!お前がこうやって母さんを困らせてきたんだ!」
僕はレコードプレイヤーを乱暴に閉じると、スティックとボールを持ち、三足跳びで階段を駆け下りて外に飛び出した。
父さんと僕のこんなやり取りも初めてではない。
そして、こうやって家を飛び出した後はケイトおばさんのところへ行くまではワンセットだ。
ケイトおばさんとは。
近所の子供達はケイトおばさんのことを「クレイジーな猫おばさん」と呼びます。
へんてこな古着とスニーカーを身につけて通りを歩き、数十匹の野良猫たちと暮らしているから。
確かに少し変わっている所もありますが、それは彼女が人々にどう思われるかは気にしておらず、マイペースに生きているからです。
人々が噂するような、ホーホーとかムハムハとか、そんな奇妙な声を漏らしたりすることはありません。
ケイトおばさんは思慮分別のあるまともな人です。
実際のところ、父さんよりもまともだと思うことが往々にしてあるからです。
続く。
今日のワンポイント
Popはお父さん
「Pop」という単語がいきなり出てきて???ってなりました。
2日ぐらい頭の片隅でずーっとひっかかっておりましたが、「パパPapaとか、パピーPapyのPopじゃね?」と閃いてそれを採用することにしました。
文脈的にもお父さんの事指してるっぽいですし。
でも間違ってたらごめんなさい。
Maybe being a lawyer he gets in the habit.はよくわからん
直訳すると
「多分、弁護士であること、彼はその習慣がある」
なのですが、よくわからんので意訳でごまかしてます。
very little gray curly hairはハゲなのか
little hair ってハゲとか、薄毛って意味なんですかね。
I think it’s funny.は何がおかしいのか
前文の、お父さんが息子に話す鳥と蜂の話がfunnyなのか、それとも突然お父さんが怒り出したのがfunnyなのか。
ここでは後者にしましたが、どうなんですかね。
本日の英単語
go along over to~:~のところへ行く
wheeze:喘息などで息を切らす
Don’t get fresh:馴れ馴れしくするな、舐めた口を利くな
Baby-talk records:赤ちゃんに言葉を教える
Pop:お父さん
blow one’s stack:怒りを爆発させる
roar:怒鳴る
Belafonte:ベラフォンテ ミュージシャンの名前
hassle:やっかい事
educational:教育的
right in the middle of~:~の目の前
asthma:喘息
drapes:カーテン
upset:動揺させる
thin:細い
a lot anyway:とにかくたくさん
in the habit:習慣
原文
My father is always talking about how a dog can be very educational for a boy.
This is one reason I got a cat.
My father talks a lot anyway.
Maybe being a lawyer he gets in the habit.
Also, he’s a small guy with very little gray curly hair, so maybe he thinks he’s got to roar a lot to make up for not being a big hairy tough guy.
Mom is thin and quiet, and when anything upsets her, she gets asthma.
In the apartment—we live right in the middle of New York City—we don’t have any heavy drapes or rugs, and Mom never fries any food because the doctors figure dust and smoke make her asthma worse.
I don’t think it’s dust; I think it’s Pop’s roaring.
The big hassle that led to me getting Cat came when I earned some extra money baby-sitting for a little boy around the corner on Gramercy Park.
I spent the money on a Belafonte record.
This record has one piece about a father telling his son about the birds and the bees.
I think it’s funny.
Pop blows his stack.
“You’re not going to play that stuff in this house!” he roars.
“Why aren’t you outdoors, anyway? Baby-sitting! Baby-talk records! When I was your age, I made money on a newspaper-delivery route, and my dog Jeff and I used to go ten miles chasing rabbits on a good Saturday.”
“Pop,” I say patiently, “there are no rabbits out on Third Avenue. Honest,there aren’t.”
“Don’t get fresh!” Pop jerks the plug out of the record player so hard the needle skips, which probably wrecks my record.
So I get mad and start yelling too.
Between rounds we both hear Mom in the kitchen starting to wheeze.
Pop hisses, “Now, see—you’ve gone and upset your mother!”
I slam the record player shut, grab a stick and ball, and run down the three flights of stairs to the street.
This isn’t the first time Pop and I have played this scene, and there gets to be a pattern: When I slam out of our house mad, I go along over to my Aunt Kate’s.